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家賃が滞納されたらどうする?強制退去までの流れと滞納リスク対策を解説
なんと、2020年上期の全国の家賃滞納率は5.2%です。
あなたのアパートでも、家賃滞納が発生しないとは言い切れません。
なお、家賃滞納が発生しても、オーナーから一方的に建物賃貸借契約を解除することはできません。
家賃滞納の発生から強制退去までは、法的に適切な手順を踏む必要があります。
管理会社にアパートの管理を依頼する場合、家賃滞納が発生したときの手続きも管理会社が窓口となり対応してくれます。
しかし、オーナーとしては全体の流れを掴んでおくことでタイミングに沿った最適な意思決定をしやすくなります。
今回は、家賃滞納が発生してしまった場合の基本的な流れと、滞納を未然に防ぐための対策について解説します。
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目次
家賃滞納とは?
家賃滞納とは、アパートやマンションの入居者が決められた期日に決められた家賃を支払わないことです。
理由に関わらず、家賃の支払いが遅れた場合は家賃滞納と呼びます。
日本賃貸住宅管理協会が公開している賃貸住宅景況調査の2020年度上期データでは、家賃滞納率が関西圏で前年同期よりも約1.22%上昇しています。
首都圏では、入居率の低下に伴い0.3%の減少です。
今後の経済状況によって増減するかは断言できませんが、いずれにしても、アパート経営にとって家賃滞納は起こりうるリスクとして対策を考えておくべきでしょう。
よくある家賃滞納理由
よくある家賃滞納の理由には、次のようなものがあります。
- 支払いを忘れている
- 長期不在にしており支払えなかった
- 収入がなく支払えない
- お金はあるが支払いたくない
その中で最も多いとされているのが、支払いを忘れているケースです。
支払日を勘違いしていたり、支払ったつもりになっていたりすることもあります。
特に、入居開始から間もないタイミング・自動引き落としではなく、指定の銀行口座に家賃を振り込む場合に起こしがちなミスです。
単純に支払いを忘れているケースでは、督促することで支払ってもらえることがほとんどでしょう。
次に、家を長期不在にしており、家賃を支払えなかった場合です。
入居者本人の急な病気やケガだけでなく、家族の付き添いで病院に行っているケース・実家に帰っているケースが考えられます。
また、旅行で長期不在にしているケースもあるでしょう。
この場合も、家賃の支払い意志はあるものの支払いに行ける状況ではない、または、支払い忘れている状態です。
そのため、本人の帰宅後には、督促しなくても支払われるケースもあります。
さらに、収入が途絶えた場合や収入が減って家賃が払えない場合も、家賃滞納の理由です。
一時的なこともありますが、病気やケガで収入がなくなって家賃が払えなくなった場合は、督促をしても支払われない可能性が高いと考えられます。
特に2020年の失業率は2.8%と、前年度から0.4%増加。
2020年12月の失業者は、11か月連続で増加しており、急な失業が原因で家賃が支払えなくなる人が増えるリスクが高まっています。
家賃滞納の理由で最もやっかいなのが、お金はあるけど支払いたくない場合です。
理由はさまざまですが、契約した以上、入居者には決められた家賃を支払う義務があります。
家賃滞納があった場合は、強制退去を視野に入れて対応しましょう。
家賃滞納が発生した場合の対応の流れ5ステップ
入居者が、家賃を滞納して支払う意志もなければ、すぐにでも退去してもらわないと、いつまでもその部屋は収入ゼロのままです。
オーナーとしては今すぐにでも出ていってもらって、次の入居募集にかかりたいところですが、強制退去には法的手続きが必要です。
ここでは、家賃滞納の発生から強制退去までの流れを解説します。
1.家賃支払いの催促をする
家賃の支払い期日の翌日から、家賃滞納者に催促が可能です。
『催促』とは、物事を早くするように促すこと。
まずは、家賃が未納であることを確認する意味合いで電話をすることが一般的です。
支払いを忘れているケースでは、この時点で支払われることがほとんどです。
電話をしても連絡がつかない・支払ってくれない場合には、催促の旨を記載した書面を送付したり、直接訪問し催促することもあります。
ただし、居住者保護の観点から、夜間の催促や居住地への侵入・脅迫行為は違法行為とみなされ、反対に法的措置をとられる可能性も否定できません。
夜間や早朝の催促は避け、常識的な時間帯でおこなう必要があります。
これらの催促を2週間~1ヶ月の間繰り返し、それでも連絡がつかない場合や、連絡はつくが支払われない場合に次のステップへと移ります。
2.家賃支払いの督促状を送る
催促をしても応じてもらえないときは、家賃滞納者へ督促をします。
『督促』も『催促』と同じような意味を持っていますが、『催促』は日常生活で使うのに比べて、『督促』は法律や行政でも使われる言葉のため、より強いニュアンスとされているようです。
家賃滞納者へ督促をする具体的な方法として、配達証明付きの督促状と内容証明を送ります。
配達証明とは、郵便を相手が受け取った事実と受け取った日付を証明する送付方法で、郵便局が配達時に証明をしてくれます。
内容証明とは、手紙を郵送したこと・郵送した日付・手紙の内容を郵便局が証明してくれるものです。
宛先と送り主、手紙の内容を証明したいときに利用します。
内容証明郵便は、手紙を出した情報のみを証明するもので、相手が受け取ったことが証明できません。
そのため、同時に配達証明も依頼する必要があります。
なぜ、配達証明や内容証明が必要なのかというと、明け渡し請求で家賃支払の督促がおこなわれたことを証明するためです。
督促がおこなわれた証明がないと家賃滞納者が、「督促状が来なかった」と言い逃れができます。
督促状を出しても家賃の支払いがおこなわれなかったときのために、必ず配達証明と内容証明付きの郵便で督促状を送付します。
督促状の内容に記載する項目は、下記のとおりです。
- 督促状の作成した日付
- 家賃滞納者の住所と氏名
- オーナーの住所と氏名
- 滞納期間
- 滞納金額
- 支払期日
- 賃貸借契約解除の可能性がある旨
3.賃貸借契約解除の催告書を送る
督促状を送付しても支払期日までに滞納分の家賃の支払いがなかった場合は、賃貸借契約を解除する旨の催告を行います。
『催告』も物事を早くするように促すことですが、『催促』や『督促』よりもさらに強い意味合いで使われており、『催告』に応じなかった場合は法的措置をおこなうことが多いです。
督促状では、「支払わなかったら契約解除の可能性もありますよ~」とほのめかすまででしたが、催告書では、「支払わない場合は法的措置を取ります」という、より強制力の強い言い方をします。
催告書も督促状と同様、内容証明と配達証明で送付する必要があります。
実は、家賃滞納があっても、一方的にオーナー側が建物賃貸借契約を解除することはできません。
建物賃貸借契約を解除できる条件は次の2つです。
- オーナーと入居者の関係が破綻している
- 家賃を3か月以上滞納している
「オーナーと入居者の関係が破綻している」との判断は難しいのですが、支払いに応じてもらえない場合は、基本的にはこの条件にあてはまると考えてよいでしょう。
ただし、「支払いの期限を延ばしてほしい」「いつまでに支払う予定がある」など、家賃滞納者に家賃の支払い意志があるケースでは、関係が破綻しているとはいえないこともあります。
4.明け渡し請求訴訟
催告書に記載した期日を過ぎても滞納した家賃の支払いがされないときは、法的手段として明け渡し請求をおこないます。
『明け渡し請求』とは、裁判所に訴状を提出して訴訟を起こし、家賃滞納者の退去を要求する方法です。
裁判になるため、訴訟費用や弁護士費用などがかかってきます。
ただ、入居者が家賃を払ってくれないまま居座っているとなると、オーナーとしては貴重な収入源を失うので、何としてでも退去してもらい次の入居募集にかかりたいところです。
明け渡し請求では、退去だけでなく滞納している家賃の請求もできます。
明け渡し請求をするには、訴状や賃貸借契約書、催告書の内容証明書・配達証明書など、各種書類が必要です。
不動産トラブルに詳しい弁護士に相談し、スムーズに対応しましょう。
なお、明け渡し請求の申し立てをして、実際に裁判が始まるには1か月以上かかります。
裁判自体は1日で終わり、判決が出るまで1~2週間程度です。
ただし、家賃滞納者が争う姿勢をみせると、裁判が長引くことがあります。
5.強制執行
明け渡し請求で判決が確定したら、家賃滞納者は退去しなくてはいけません。
一定期間のうちに退去しないときに、オーナーは強制執行の手続きができます。
『強制執行』とは、家賃滞納者への明け渡し請求を強制的に実行できる手続きです。
強制執行の手続きをおこなったら、執行官と明け渡しの催促日を打ち合わせます。
催促日には、執行官とともに家賃滞納のある部屋へ赴きます。
家賃滞納者が不在でも室内に入ることが可能で、部屋に家賃滞納者が居住していることが証明できる書類を確認し、強制執行をおこなう日を記載した公示書を室内に貼りつけて完了です。
家賃滞納者には、催促日から1か月間の引き渡し期日が設けられ、期日までに明け渡されない場合は強制執行を断行します。
強制執行後は次の入居者の募集に入れるため、オーナーとしては家賃を払ってくれない入居者には少しでも早く出て行ってほしいもの。
ですが、この強制執行時の荷物の搬出にかかるお金もオーナー負担となってしまうケースが多いのも事実です。
家賃滞納リスクの対策3選
上記で家賃滞納から強制執行までの流れを解説しましたが、強制執行まで長い場合は1年ほどかかることもあります。
オーナーの受けた損害費用を滞納者に請求できればいいのですが、家賃を滞納しているくらいなので、支払い能力がなく、結局オーナーの負担が増える。というケースも少なくありません。
そんな恐ろしい家賃滞納リスクを少しでも軽減させるために、オーナーにできる対策を3つご紹介します。
連帯保証人を義務付ける
入居時に連帯保証人を設定していれば、家賃滞納者が支払いに応じなかった場合に連帯保証人に連絡をし、未払い分の家賃を立替えしてもらうことが可能です。
以前はこの方法で滞納リスクを回避するのが一般的でしたが、2020年の民法改正により現実的に厳しくなってきました。
民法改正では、新たに連帯保証人の極度額の明記が賃貸借契約書でも必要になりました。
『極度額』とは、連帯保証人の負う最大の負担額のことです。
例えば、「200万円」など具体的な数字を契約書に記載し、そこまでは責任を負う旨を連帯保証人が了承しないといけません。
これまでの賃貸借契約書では、このような数字の明示はなかったため、「入居者に何かあったときに連絡が来る」くらいの軽い感覚で連帯保証人になる人も多かったようですが、「200万円の責任を負う」となるとそう気軽になれるものでもありません。
このことから、連帯保証人は取りにくくなってきています。
家賃保証会社を利用する
連帯保証人に変わるリスク回避策として知られているのが、家賃保証会社の利用です。
家賃保証会社の保証に加入しておけば、家賃滞納が発生した場合に保証会社が入居者に変わってオーナーへ家賃送金を行ってくれます。
また、家賃保証会社の立場からすると、滞納の危険性がある入居者の保証はしたくありませんので、滞納履歴などを洗い出し審査をします。
そのため、保証という意味合いのほかにも、滞納リスクの高い入居者の選別という意味でも有効な方法です。
家賃保証の保証料は入居者が支払うのが一般的ですので、オーナーのコスト負担もありません。
ただし、家賃保証会社にも保証限度額があります。
保証限度額を超えた部分については、これまでは連帯保証人に請求していました。
しかし、上述の通り、連帯保証人を取りにくくなっています。
保証限度額を超えた損益が生まれないよう、家賃保証会社から送金があるからといって問題解決を先延ばしにせず、オーナー自身が早め早めの解決に取り組むことが必要です。
ちなみに保証限度額は、原状回復費や裁判費用なども含めて、月額家賃の24ヶ月分としている会社が多いようです。
国の制度を利用する
私たちの生活に住まいは不可欠です。
何らかの理由でその住まいの確保が難しくなった人のために、厚生労働省は「住宅確保給付金」の制度を実施しています。
【住宅確保給付金】
「主たる生計維持者が離職・廃業後2年以内である場合、もしくは個人の責任・都合によらず給与等を得る機会が、離職・廃業と同程度まで減少している場合において、一定の要件を満たした場合、市区町村ごとに定める額(※)を上限に実際の家賃額を原則3か月間(延長は2回まで最大9か月間)支給します。」
出典:厚生労働省|厚生労働省生活支援特設ホームページ | 住居確保給付金:制度概要)
離職や廃業などによって収入が途絶えた人に対して、自治体が補助をしてくれる制度です。
自治体によって上限金額は異なりますが、家賃の一部を補助してくれるだけでも入居者の負担はかなり減少します。
催促の際に滞納に至った理由を聞いてみて、当制度の対象になりそうであれば、入居者に給付金の受給を提案してみるのも一案です。
家賃滞納の流れと滞納リスク対策のまとめ
ここまで、アパート経営における家賃滞納が発生した場合の対処法と、滞納リスクを抑えるための対策を3つをご紹介しました。
契約時にどんなに優良な入居者でも、滞納者となってしまう可能性はゼロではありません。
万が一の場合に備えて、オーナーとしても打てる対策を取っておくことが大切です。
また、管理会社に管理を委託している場合、滞納者の窓口となるのは管理会社となります。ご紹介した滞納リスク対策には管理会社の協力が不可欠のものもありますので、あまりに非協力的なようなら、管理会社を変えるというのもひとつの方法です。
初めてのアパート経営では、分からないことだらけで当然です。
ぜひ、当ブログで知識を蓄えて、あなたのアパート経営を成功させてくださいね!
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